角島の謎に迫る Huluオリジナル「十角館の殺人」

Huluオリジナル作品である、「十角館の殺人」を紹介していきます。
これはミステリー界の巨匠と言われている綾辻行人のデビュー作をドラマ化した作品です。1987年に出版され累計発行部数は100万部を突破し、日本のミステリー界に大きな影響を与え、新本格ブームを巻き起こしたとされています。

私は恥ずかしながら原作を読んだことがありませんが、全5話と見やすく引き込まれるストーリーでした。

十角館の殺人 | Hulu(フールー)

 

 

十角館の殺人とは

誰も訪れることのない孤島に建つ十角形の奇妙な「十角館」。その館に合宿で訪れた、ミステリ研メンバーの学生たち。同じころ、元ミステリ研の江南孝明(かわみなみ たかあき)には死者からの告発状が届いていた。やがて彼らを襲う連続殺人。仲間の犯行か、外部犯の凶行か

Huluオリジナル「十角館の殺人|公式サイトより引用

登場人物

ミステリ研究会メンバーは全員日本人だが、メンバーはミステリー作家の名前をそれぞれあだ名として使用している。

エラリイ

K大学ミステリ研究会部長。
鼻につく言い回しをよく使う男性。今回の合宿に意欲的で、十角館で起こる事件も真相を知ろうと行動する。

カー

ミステリ研究会所属のK大学法学部3回生。
捻くれた性格で、なにかにつけて他のメンバーに噛み付くことが多い男性。特にエラリイとは衝突が多い。

ポウ

ミステリ研究会所属の医学部4回生。オルツィの幼馴染。
医者を目指す秀才の男性。学生ながらも医療知識があるため事件でもその力を発揮していく。

ルルウ

ミステリ研究会所属、文学部2回生。今回の合宿では集大成の小説を全員に書いてもらおうと考えている。
ミステリ研究会の中では後輩のため敬語を使って話す。男性。

アガサ

ミステリ研究会所属、薬学部3回生。
気の強い性格の女性。ミステリ研究会では女王様といわれることも。

オルツ

ミステリ研究会所属、文学部2回生。

物静かな女性。金色の指輪を大切に持ち、左手の中指にはめている。

ヴァン

ミステリ研究会所属、理学部3回生。
不動産業を営む伯父がおり、今回合宿を行う十角館のある角島も叔父が購入している。研究会メンバーより先に十角館で合宿できるよう先に準備を進めていたが、体調を崩してしまう。男性。

江南 孝明(かわみなみ たかあき)

研究会の元会員。男性。
ともに行動する島田からは「こなん」と呼ばれている。研究会時代のニックネームは「ドイル」。死者からの告発状が届く。

島田 潔(しまだ きよし)

寺の三男。自身を暇人と称し、江南に届いた告発状の調査を始める。次兄は大分県警警部。

守須 恭一(もりす きょういち)

江南の友人である男性。告発状をきっかけに事件に興味を持ち協力する。

各話STORY・ネタバレ

第1話

1986年。
「計画はすでに出来上がっている。これは裁きだ。復讐というだろう。だがわかっている人は神になれない。だからこそ、最後の審判は人ならぬものに託そう。この海に。」

これから殺人に手を染めようとする犯人による独白と共に、紙の入ったガラス瓶が海へと放り込まれた。

<本土>

一日目。
『お前たちが殺した千織は、私の娘だった』
そんな手紙が元推理小説研究会の江南孝明の元に届く。手紙に書かれている千織は、中村千織という去年亡くなったミステリ研究会の後輩の名前だ。

江南は、封筒に書かれた「中村青司」という名前から、角島で起きた事件の犠牲者であることを思い出す。

  • 角島にはかつて青屋敷というものがあり、どちらも中村青司という建築家が自ら設計し妻、住み込みの使用人夫婦、そして庭師の五人で生活していた。
  • しかし半年前に青屋敷は炎上し、焼け跡から庭師以外の四人の死体が見つかり殺人事件とされている。
  • 殺害方法はそれぞれ異なっており、中村夫人の左手は今も見つかっていない。
  • しかし、庭師の行方が分からないことから、彼が犯人なのではと疑われつつも真実はわからず迷宮入りしている。

彼はミステリ研究会のメンバーの家に連絡をするが、留守で母親から角島に向かったことや「中村青司」から手紙が届いていることを知る。偶然にしては出来すぎていることから、江南は調査を開始。

 

そこで以前千織が下宿していたところに連絡を取り、叔父である中村紅次郎のもとを訪ねる。家に招き入れられた先にはすでに先客がいた。紅次郎の友人で島田潔という。

江南は二人に事情を話すと、実は紅次郎の元にも青司の名前で「千織は殺されたのだ。」と手紙が届いていた。この手紙について意見を聞きたく、島田は紅次郎に呼ばれていたようだ。しかし、紅次郎は青司の死体はこの目で確認したと生存を否定し、角島で起きた事件のことは思い出したくないと頑なに断られる。

江南と島田の二人は喫茶店に入り、手紙の話の続き始め、江南はこの手紙に①告発、②脅迫、③角島の事件に再注目させる意図があるのではと推理する。当時庭師だった吉川が犯人だとして、動機として考えられるのは「中村青司」の財産目当て・中村夫人の和枝への横恋慕の二つだと考える。

 

1年前に亡くなった千織の話にもなるが、ミステリ研究会の三次会で突然体調を崩し亡くなっている。しかし江南は用があって途中で退席したため、当時の詳しい状況はわからない。彼らは話の中で、ミステリ研究会に所属し「中村青司」の手紙が届いているであろう守須恭一のもとへ向かう。

話を聞いた守須は事件について、紅次郎が犯人なのではと疑うが、彼には島田とずっと一緒だったというアリバイがある。
その後、守須の提案があり庭師の妻が住んでいる家をたずねることにする。江南は守須も誘うが、コンクールのため国東の磨崖仏の絵を描きに毎日行っていることを理由に断られる。守須はミステリ研究会の合宿も同じ理由で断ったようだ。

 


二日目。
吉川の妻・政子のもとを訪ねる江南と島田。
吉川の生存について聞くが、政子は連絡がないため吉川がすでに死んでいると言う。また当時財産目当ての話もするが、中村青司に財産など残っていなかったそうだ。
千織については、彼女は小さい頃から祖父母に預けられていたこと、会えたのもほんの数回程度だったと話す。

 

二人は今日の報告をするために守須の家を訪れる。話を聞いた守須は実は青司が生きている可能性があると話す。青司の死体は灯油をかけられて燃えていたため、他人と入れ替わっていた可能性も考えられる。さらに姿を消した吉川は殺され、青司が真犯人だったのではないかと。
もし青司が生きていた場合、角島にいるメンバーは無事なのかと不安を感じる。

 

<ミステリ研究会>

一日目。
推理小説研究会のメンバー七人は、合宿で角島にある十角館を訪れる。十角館はその名前の通り、十角形の形をした館。
しかし半年前の中村夫妻を含む四名が亡くなった事件により、角島は無人島となっていた。

 

ミステリー好きとして、角島は格好の島であり、今回メンバーの一人であるヴァンの叔父がこの島を購入したことで許可を取り訪れた。なお合宿期間は七日間で七日目にならないと帰りの船はやってこない。
今回の参加メンバーは、エラリィ、カー、ポウ、ルルウそしてアガサ、オルツィ、ヴァンの7名。ヴァンは一足先に島に上陸し、合宿準備をしていたが、風邪をひいてしまった様子。

 

一同は未解決事件の糸口がつかめるのではと嬉々として島を探索するも、目立った進展はなかった。夕食後ヴァンは体調不良を理由に早々に部屋に戻ってしまうが、その他メンバーは各々自由な時間を過ごす。

 


二日目。

翌朝目覚めると、テーブルに『第一の被害者』、『第二の被害者』、『第三の被害者』、『第四の被害者』、『最後の被害者』、『探偵』、『殺人犯人』と書かれたプレートが置かれていた。メンバーの誰も置いた覚えはなく不安になるも、強く気にする人物はオルツィを除いていない。
またヴァンの体調は悪化し、一日目よりも熱が上がっているようだ。

 


三日目。
昼前に目を覚ましたアガサは、オルツィの部屋の前に『第一の被害者』のプレートが貼ってあるのに気が付く。

第2話

<本土>

三日目。
江南と島田は、中村青司が生きていると仮定し彼がどこにいるのかを探し始める。二人は紅次郎のもとに訪れ、庭師の妻から聞いたことを話し出すが一蹴されてしまう。

続いて角島に近いS町を訪れ漁師から話を聞く。今ぐらいの気候であればモーターボートで本土と島を行き来することも可能だと言われるが、岸に船をつないでいたらすぐに見つかってしまう。

 

<ミステリ研究会>

三日目。
オルツィの部屋に『第一の被害者』というプレートが貼られていることに気が付き、メンバーが部屋に入る。そこには、絞殺されベッドに横たわったたオルツィの死体があった。
医学部のポウが状況を確認したことろ、オルツィは朝の6~9時頃に殺害されており左手首がなかった。それはまるで過去の青屋敷でおきた和枝の殺人に見立てているよう。
また犯人について考えるが、カーがオルツィに告白して振られたことしか思い当たらず、当然彼もそれを否定した。

何とかして本土と連絡をとろうと島を捜索するがめぼしいものは無し。ルルウは海に一瞬何かが見えた気がすると話すが何も見つからない。

 

ミステリメンバーの中に犯人がいるのではと疑心暗鬼になる中、エラリィは外部犯の可能性を提示する。彼は青司が生きていて、この島に隠れており事件の真相が暴かれることを恐れていると考えている様子。

その夜、カーのお願いでアガサが人数分のコーヒーをいれこれからのことを相談し始めるが、コーヒーを飲んだカーが突然苦しみ出す。

第3話

<ミステリ研究会>

三日目。
カーは息を引き取り、ポウはコーヒーに毒が入っていたと考えるが種類が分からない。また状況からして、コーヒーをいれたアガサにしか犯行は不可能だった。
しかし、カップをとった順番や全て同じ形をしていることから、どうやって犯人は毒を回避したのかという疑問がでてくる。

 

しかし、議論の中で他メンバーにも怪しい点やあえて不利な状況を作り出すのは不自然だと反論も上がり結論はでない。あらかじめ毒が塗ってあり、カップに何か目印があるのではと調べますが、そういったものも見つからず。

疑われたことでアガサは他メンバーに対して疑心暗鬼になり、先に部屋に戻る。

 


四日目。

ルルウが目覚めてホールに出ると、他の四人はすでに起きており、誰も気が付かないうちにカーの部屋に『第二の被害者』と書かれたプレートがつけられている。また浴室から血まみれの手首が発見され、それはくカーのものであると判明する。

 

メンバーは青屋敷の焼け跡に向かい、一枚だけ床のタイルの色が違うことに気が付く。タイルを持ち上げると地下室へと向かう階段を発見。
エラリィが初めに中に入るが、不意に彼は体勢を崩して中に落ちてしまう。助けにいったポウが足元に釣糸が張ってあるのを見つける。どうやらエラリィは釣糸に足を取られてしまったようだ。

 

下に降りると、エラリィは足を挫いていたものの無事だった。地下室を調べると、中には気になる物は何もないものの、床は掃いた跡があり綺麗だった。

屋敷に戻ったメンバーは、中村青司が地下室に潜んでいた可能性があると話す。その日の夜アガサは精神的に追い詰められ、ポウは睡眠薬を飲んで休むことを提案する。他のメンバーも必要な人は睡眠薬をもらって休むことに。

明け方ごろ、何かを思い出し部屋から抜け出すルルウの姿。そして少し落ち着いた様子のアガサは自分の顔色が悪いことを気にし、いつもの口紅から赤に変えてメイクを始める。

 


五日目。

目が覚めたヴァンは、洗面所のドアが不自然に開いていることに気が付き確認する。その先には血を流し項垂れるように死んでいるアガサの姿があった。

 

<本土>

四日目。
今回の調査のきっかけとなった手紙を眺めていた江南は、中村千織が亡くなった過去について調べたいと島田に電話をかける。
ミス研の部室を訪れた二人は当時について振り返る。警察によると持病の発作がアルコールによって誘発されたことが原因として事件性は無いと考えている。また、当時その場に居たメンバーは救命活動をしていた。

 

続いて千織の祖父のもとへ往診に行っていた看護師に話を聞きに行く。彼女の話によるとこれまで千織の両親に会ったことはなく、何か事情があったようだが母親とは手紙のやり取りをしていたと話す。しかし父親の話を聞いたことはなく、千織の葬式にも出席しておらず代わりに叔父の紅次郎が取り仕切っていたという。

 

その夜、守須に千織の実の父親は紅次郎であり、それによって中村青司が彼女を遠ざけていたこと、それらから手紙を送ったのは紅次郎ではないかと推理を話し出す。しかし守須はこれ以上個人の最も踏み込まれたくない過去に踏み込むことに難色を示した。

 

第4話

<ミステリ研究会>

五日目。

青屋敷跡からルルウの死体が横たわっていることを見つける。死因は石か瓦礫による撲殺だと推測する。エラリィは雨の影響で足元は柔らかくなり、いくつかの足跡が残されていることに注目する。しかし、ルルウの死体を運ぶことを優先し十角館に戻る。

アガサについても調べたところ、毒は二本ある口紅のうち赤い方に塗られていたことが判明した。三人は改めて状況を整理し始める。

 

その中で、十角形のカップの中に一つだけ十一角形のカップがあることが判明。それはカーが飲んだカップだった。これが目印になるため、誰にでも犯行が可能ということになる。

三人はこれまでの事を思い出しつつお互いを疑い出すが、雨が降り出し何かを思い出したエラリィは外に飛び出していく。
たどり着いたのはルルウの死体が横たわっていた場所。エラリィはルルウの足跡に近くにルルウの後を追いかけるような足跡があり、これが犯人のものだと話す。

 

しかし、犯人の足跡は階段とルルウの死体の往復しかしておらず、しかも階段の下には海しかない。もしミス研メンバーが犯人なら、海に戻る必要はないことから犯人は何らかの理由で海の方に戻らざるをえなかったということになり、つまり犯人は外部の人間で、船を使ったと考える。

 

エラリィはたためるゴムボートを使用したため船が見つからなからず、犯人は青司だと断言する。そして青司が犯人ならば亡くなった千織の父親のためこの事件の動機も検討が付くと。

 

十角館に戻った三人だがタバコを吸っていたポウが血を吐いて苦しみだし、そのまま息を引き取った。こちらも毒殺で、ポウのタバコに仕込まれていたのだ。

ますますエラリィは青司が犯人だとし、彼なら十角館のマスターキーを持っているからどの部屋にも好きに入れると主張する。そして、十一角形のカップの存在に注目する。部屋や小物のすべてに十角形というこだわりがある中、なぜ一つだけ十一角形のカップがあるのか。そして十一番目の部屋があるのではと推測。

 

二人が探すと、厨房の床下の収納庫に穴があり、そこに十一角形のカップを合わせると見事合致した。地下の隠し部屋へと続く階段が現れ、降りていくとホールの真下につながっている。さらに探索を続けると、人の死体があった。

 

<本土>

五日目。

昨日の守須の言葉を気にしつつも、江南と島田は紅次郎に会いに行く。島田は単刀直入に千織が紅次郎の娘ではないかと聞くが、紅次郎はこれを否定する。

しかし、島田は引き下がらず青屋敷が燃える前日の夜、普段滅多に酒を飲まない紅次郎が酔いつぶれて『和枝、許してくれ、私を許してくれ』と繰り返していたのを島田は聞いていたと話す。

 

このことから事件前日の夜の時点で、紅次郎は事件の発生を知っていた。そして、事件のことを知っていたのは青司から直接連絡があったのではないかと。他にも今も見つかっていない和枝の左手首は、青司が切断し、紅次郎のもとに送り付けたのではないかと。

 

紅次郎はあの事件は青司が図った無理心中だったことを説明する。紅次郎は一夜だけ和枝と関係を持ち、彼女は千織を身籠った。青司は疑ってはいたが、生まれた千織を自分の娘だと信じることで、なんとか和枝との関係を保とうとしていた。

しかし、千織が亡くなってしまったことで、心のバランスがとれなくなり青司は角島の事件を起こしてしまったと。そして和枝の左手首については、紅次郎は庭に埋めたのだった。

 


六日目。
朝電話の音で目が覚めた守須は、島で大規模な火災が起こり十角館が全焼し誰も助からなかったことを知る。

守須は江南と島田を呼び説明する。島田は紅次郎を疑っており、手紙は青司が犯人だと思わせるためのカモフラージュで、ヨット部だった紅次郎であれば島への行き来も可能だったと発言する。

 

そこに今回の捜査を担当する島田の兄、県警捜査一課の島田修から今回の事件について聞き出す。

死体は一人を除いて焼かれる前に死んでいて、他殺の疑いがある。そして一人は焼身自殺の見解だという。焼死体は松浦純也という人物のもので、これがエラリィだと判明。

島田はミステリ研究会の一部のメンバーにはニックネームがあったことを知り、江南と守須の名前も尋ねる。江南は名前の通り、ドイル。

 

一方島田は、守須の名前から『モーリス』だと推測しますが、彼はヴァンと呼ばれていた。

 

最終話

この事件はテレビで大きく報じられている。さらに地下室からは行方不明となっていた吉川と思われる死体が見つかったと話している。

警察はミステリ研究会の会員を部室に呼び、事情を聞きますが、守須の頭の中は千織のことでいっぱいだった。彼はみんなに内緒で彼女と付き合っており、千織が亡くなったのは事件の日にいたメンバーのせいと考え復讐の機会をずっとうかがっていた。

月日を重ねても恨む気持ちが消えず、伯父が十角館を手に入れたと知らされ、今回の計画を思いつく。

 

<手紙の目的>
青司の名前を偽って手紙を出した理由は、告発の意味もあるが江南を動かす意図があった。好奇心の強い彼ならば、この手紙を見て調べ、自分に相談にくるはずだと。

 

<十角館の準備>
島外の人間からは自分以外の六人しか島に渡っていないように見せる必要があるため、事前に用意したのは六人分の荷物のみ。

 

<島への移動方法・体調不良>
伯父のエンジン付きのゴムボート、ボンベなどを積み海岸に隠す。それと同時に水断ちをすることで風邪によく似た症状を引き起こし夜は早くに部屋にこもり、怪しまれることなく本土と行き来していた。

 

これらの準備をすることで、江南は守須の家を訪れ、島田も合わせて二人の証人を得ることに成功し、十角館ではミス研メンバーの一人として行動ができた。また、留守にしていた理由として、事前に三枚の磨崖仏の絵を用意していた。

二人を過去の事件に目が向くように、話を誘導し夜明け前にはまた島に戻りアガサの口紅に毒を塗り込んだ。

 

二日目の夜、まずはオルツィを絞殺した、理由はオルツィは千織と仲が良く、せめて恐怖を感じる前に殺しておくということと指輪を奪うためだった。あの指輪は守須が千織にプレゼントしたもので、形見として受け取っていた。しかし、指輪の裏には二人のイニシャルが彫られていたため、いずれオルツィは千織と守須の関係に気が付いてしまうことを恐れていた。そこで守須はオルツィ殺害後、青屋敷事件を見立てて手首ごと切り落とした。これにより外部犯の可能性をほのめかせる。

 

カーの殺人については、カップに事前に毒を塗り犯行を行った。もし自分のもとに毒のついたカップがくれば飲まない予定でしたが、その心配はなく、カーが犠牲者となりました。その後、今度は青屋敷跡に向かい、地下室に犯人が隠れている可能性を濃厚にするため、床を掃き清めて誰かがいるように演出し罠を仕掛けた。
順調に進んでいると思われる中、五日目島に隠していた船を、ルルウに目撃されてしまう。そこで追いかけ、転がった石で殺害した。足跡には気が付いていたが、誰かが来る危険性もあり、十角館に戻り朝起きると、アガサの死体を発見した。

 

続いてポウからタバコをもらう際に、事前に用意していた青酸カリを仕込んだタバコを戻し、ポウはそのタバコを吸って亡くなった。
残ったのはエラリィ一人。しかし彼は青司が犯人だと決めつけていたため、焦る必要はない。エラリィは自らの推理で十角館の隠し部屋を探り当て、そこで吉川の死体を見つける。しかしエラリィは青司が犯人だと譲る気はなかった。

 

その後、ポウからもらった睡眠薬入りのコーヒーを飲ませて、エラリィを眠らせることに成功。そして、犯人の証拠となりうるものは全てエラリィの部屋に入れ、館中に灯油をかけ、火を放った。

回想が終わり海岸にいた守須のもとに江南がやってくる。江南はエラリィと千織は付き合っていたのではないか、今回の事件は千織を助けられなかった自責の念からメンバーを巻き込んで心中したのではないかと話す。

 

その中で指輪を人前でつけたかったこと・父親に疎まれている中みんなに付き合っていることを隠すのは辛かったのではないかを守須は初めて知り驚愕する。

しかし島田は別の推理があるから聞いてほしいと伝えるが、守須は彼の話を止め海辺を歩き始める。すると、足元に彼が海に投げた、事件の詳細を書いた紙片の入ったガラス瓶が流れ着いた。

 

瓶を拾うと、審判が下ったのだと観念した。近くにいた一人の男の子を呼び止め、島田にこの壜を渡すようお願いするのだった。

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感想

守須=ヴァンだと知った時の衝撃はすごかったです。最終話で怒涛のように明かされる真実に目が釘付けになり、何回も見直してしまいました。

また、今回舞台となったのが1986年という昭和なので、服装や部屋の雰囲気がその時代に合わせつつストーリーも面白いので没入感がありました。時に昭和だと一番感じたのはタバコを吸うシーンですね。だからかタバコを吸うメンバーの歯がなんとなく黄ばんで見えたような気がします。

 

もともとこの作品は映像化不可能と言われた中の、満を持しての作品でした。事前に何の知識も入れずに見たので少しドキドキしてましたが、見終わった後はまるで本を1冊読み終わった後のような満足感がありました。これがhuluでしか見られないのが残念ですがぜひ気になった方は見てください。