突如登山中に化物に襲われるホラー漫画『モンキーピーク』

 

コミックシーモアなどの漫画サイトで、ちょくちょく1巻分は無料になるという宣伝で見かけることのあった『モンキーピーク』。

 

表紙からして、ホラー漫画というのが分かりますね。今回はこの『モンキーピーク』の紹介です。

 

f:id:min9821:20210608225209j:image

 

 

 

あらすじ

主人公の早乙女(さおとめ)が勤務する藤谷製薬のレクレーションで、社員全員での登山がおこなわれた。

少し険しい山道もあったが無事に社員全員で登ることができ、その夜はテントで一日を過ごし翌日下山するというスケジュールだった。

しかし、深夜鉈を持った巨大な猿が早乙女の前に現れた。その猿に社員たちは次々に殺されていってしまう。
突如猿はどこかへ姿を消したが、生き残った人々は恐怖で眠れぬ夜を過ごす。


翌朝、社員たちは早急に下山を決意するが、猿の惨殺によって次々と殺されていってしまう。猿によって行われる強襲は人々の精神をすりすり減らすだけでなく、食料不足や水不足に苦しめられ、仲間同士の疑心暗鬼へと発展していく。

 

この作品の見どころ

山に棲みつく魔猿の不気味さ

早乙女たちが遭遇したのは、人間以上の背丈のある二足歩行の巨大猿なのでインパクト抜群です。どこから現れ、社員を殺す目的もはっきりしていないので不気味さに拍車がかかります。


しかも、一見猿に見えるのですが動物による怪我は本来なら爪や牙による傷になりますが、
この『モンキーピーク』の猿は鉈を使うため、動物ではなく人ではないかという疑惑も浮上します。

 

自然の圧倒的暴力

モンキーピークの表紙からして猿が人間を襲うというモンスターパニック系だと思っていましたが、猿の次に怖いのが自然の脅威です。

登山準備が不十分だった早乙女たちに、容赦のない自然の洗礼を味わうことになります。

 

例えば、凍傷があります。特に早乙女たちはすぐに帰ることを予定していたため、山で過ごすための満足な装備がありません。

標高は2500メートル、そして風速は10メートル以上、で気温がどんどん下がり、体温はみるみるうちに奪われていきます。

 

サバイバル術を使った生存方法

自然の驚異に人間は無力ですが早乙女たちは決して諦めず、生きるためのサバイバル術がストーリー上で登場します。サバイバル知識のない私にとって、新たな知識を得ることができました。

 

たとえば登山地図の見方があります。登山地図には登山ルートの横に所要時間の目安がありますが、同じ道でも時間異なっています。

その理由は平坦な道であれば登りも下りも同じ時間かかりますが、行きは急な道で時間がかかっても下りの場合は登りよりも所要時間は短くなります。

 

このことから、所要時間を確認することで、今から向かう道は平坦なのか登りなのか、それとも下りなのかがすぐに分かるようになっています。

 

次に、登山中に重要になるのが水です。日常生活でも水は必ず必要ですが、登山中の必要水分は「体重×登山時間×5ml」とされています。

もし、この基準を下回ってしまうと脱水症状になり、めまいや吐き気と症状がどんどん重くなっていきます。簡単に水を調達できないので、いかに工夫をして水を確保していくのかが重要です。

 

このように、猿だけでなく自然の脅威も加わることで、少しの判断のミスによって人間の命は奪われてしまいます。そんな緊迫感がこの作品で丁寧に描かれています。

 

疑心暗鬼になる人間たち

人間が過酷な状況に陥ると、徐々に疑心暗鬼になり、仲間を疑うことになるのはよくある話ですよね。

この作品でも、当然ながら命を狙われる極度の緊張感、積み重なる疲労と空腹、喉の渇きで疑心暗鬼になっていきます。

 

特に顕著になったのは、猿から逃げ小屋へとなんとか到着しましたが、ここで疑心暗鬼が爆発した時です。なぜ猿に狙われているのか、この中に猿の仲間がいるのではと疑い出します。

その後、リーダー的立場をとっていた安斎が疑わしい人間を拷問すると言い執行されました。疑わしき人間は拷問し、足手まといは見捨てるという日常生活では考えられないことがどんどん行われます。

 

登場人物

 

f:id:min9821:20211127182330j:image

 

早乙女(さおとめ)

23歳、営業担当で主人公。
過去にバイク事故で親友を亡くし、また登山中の事故で父を亡くしている。身近な人物を守れなかった責任から「2人を殺した」と語り、社員たちから敬遠される原因となり、疑心暗鬼になった社員たちからも疑われることになる。

 

宮田(みやた)

23歳、営業担当。早乙女とは同期入社であり、学生時代からの友人。安斎の独裁制に嫌気がさし、グループ分裂後は自らのグループを作る。登山には革靴で赴いており、凍傷になりかけたりする。

 

佐藤(さとう)

31歳、経理。少しヒステリックな性格で、異性に対する反抗心が強いタイプの女性。
水泥棒の疑惑をかけられたり、猿が襲ってきた時にも仲間から見捨てられるなど、その性格が災いしてか不憫な扱いが多い。

上記のように過酷なことが重なり心身共に疲れ果て、仲間の足を引っ張る行動をとることも多くなった。

 

安斎(あんざい)

34歳、法務担当。大柄でがっしりとした体躯で、過去アメフトをやっていた時期があるも、アメフト仲間との関係が悪化し暴力沙汰を起こした過去を持っている。

社長の亡き後はリーダーとなり、猿に内通していると疑う者へ拷問を行う。しかし、強引なやり方に反発する早乙女達と別行動を取り始める。
その後猿との戦いの最中、正当防衛とはなるが仲間を攻撃したことから決定的となり、早乙女達と完全に決別をした。

 

猿(さる)
早乙女たち社員を襲う謎の存在。人間よりも大きな猿のような姿をしており、キャンプ初日の深夜から何度も襲撃を繰り返し恐怖の底に陥れる。

動物とは思えないほど計画的に追い詰める知能の高さや、多少の攻撃ではほぼ動じない頑丈さもある。
また、人間の使う武器を駆使し、鉈を使う猿以外にも弓や槍を持った複数の個体が存在し、連携しながら襲い掛かってくる。